冊子は中山君が持って行ってしまったし、三上さんが意地でも話さないと分かると、急速に萌木のおこした熱は冷め、

その日一杯でその話題は静かに終焉を迎えたのだった。

「三上さん、ごめん」

自然と私の口をついて出たこの台詞。ちょっと自分でも驚いていた。

三上さんは私を値踏みするかのようにジッと見つめる。

「私は謝って欲しいんじゃない。謝られても許せないから。まだ──」

「うん。それでいいよ、三上さん」

本当にそれで良かった。ただ、謝れただけで私の胸の閉塞感が少しだけ和らいでいた。

「本当は……これを言おうって思って今日は呼び出したんだ」

「なに?」