「予約してなくて。



僕一人だけ、京(きょう)ちゃんにカットしてほしいんですけど。



待ちますか?」



 そう、先輩が少しすまなそうに言うと、




「京ちゃんですね、少々お待ちください」



 予約状況を確認しているようだった。





 愛想がいいとは決して言えない、その声に驚いた!!




透明感があり、爽やかな声だけど、確かに低かった。




確実に変声期が済んでいる、同じ年くらいの男の子だ。





 私はその子から目が離せなくなっていた。





 本物だ……ホンモノのオカマだ!!





 その子はバインダーを抱え、奥にいる人に確認をしに行った。




デニムのスカートをはく後ろ姿はどう見ても、女の子にみえる。




そして、その足の長さと美しさに驚かされた。




普通の女の子なんか比にならない!!




「すぐにご案内致しますので、お荷物お預かりします」



 足早に戻ってきたその子はそう、言った。





 先輩の大きなスポーツバッグを、軽々と預かっていた。




細いのに、結構力があるんだな。




私が前に、先輩のバッグを持ち上げた時、腰が抜けるかと思うほど重みがあった。




よくよく見ると、胸の膨らみはほとんどない。





しかも、のどぼとけに膨らみがあるのに気づいた。