そう思い、自分の机の中を探ろうとした時、バンッ! と何かが破裂したような馬鹿でかい音が教室内に響き渡った。
 俺と綾崎さんは二人揃ってビクッと肩を震わせていた。いや、綾崎さんみたいな女の子がそういう反応をするのは可愛らしいのだが、男の俺が同じ反応をしてしまったというのが少し情けない。入ってきた時といい、格好悪いな。
 で、音がした方を振り向くと、閉まっていたドアが開け放たれていて、そこに一人の女の子が立っていた。
 髪をポニーテールに纏めた、背の高い活発そうな女の子だ。多分さっきの音はあの女の子がドアを思い切り開けた時に鳴ったものだと思われる。活発過ぎだろう。

「やっぱり教室にいたかー。まだ帰ってなかったのかぁ?」

「あー。京香部活終わったのー?」

 その女の子がこちらに歩いてきながら、爽やかな笑顔を向けてくる。綾崎さんの友達なのだろう。綾崎さんも手を挙げ応えている。

「おや? もしかして」

 女の子は俺に視線を向け、少し驚いた風な表情をした。俺の事を知っているのだろうか。俺も有名人になったものだ。いや何もしてないけどさ。

「お邪魔だった?」

 おいニヤニヤしながらなんて事を言いやがるこの女!

「まさか・・・・・・」

 苦笑しか出来ないわ!
 綾崎さんが俺と二人きりで気まずそうにしていたというのに、そんな事言われたら本当に俺が・・・・・・ごにょごにょみたいじゃないか!

「京香、京香。きら、同じクラスの人。寝てるの、起こしてくれた」

「あ、そうなんだ? えっと、きら君? ありがとね」

 いやいや『きら』って誰だよ。というか、綾崎さんは今名前に相当する方で俺を呼んだのか。