「このまま聞いて」
鉄平は抱きしめる力をゆるめた。
私は鉄平の胸に顔を押し付けながら、一生懸命息をした。
「だんだん、凛のこと特別な目で見てしまうようになった。だから、俺は早めにコーチをやめようと思った。大学が始まるのも本当だけど、無理すればコーチを続けることもできた。でも・・・・・・苦しかった。この前、お前に逃げられて・・・・・・このままだと俺はもっともっと凛のことを追いつめてしまうんじゃないかって」
鉄平の心臓の音も聞こえる。
「さっき、コートで言ったこと、本当?」
好きって言ったこと?
聞こえてたの?
「はい・・・・・・」