「宮崎コーチ、本当にありがとうございました」
美紀が大きな声でそう言って、色紙を渡した。
「ありがとう。高校になってもテニス続けろよ。試合には絶対に行くから!!」
涙ぐみそうな鉄平の顔が愛しくて愛しくて、また泣きそうになる。
「じゃ、お疲れ様でした!!」
礼をする。
いつものように、ボールの入ったかごを持って、鉄平は歩き出す。
終わった。
終わってしまった。
「鉄平ちゃん!!!」
大声を出したのは、敦子だった。
私以外の部員みんなが集まって、鉄平を引っ張る。
「凛から鉄平ちゃんに話があります!!」
みんなが私を見た。
鉄平も目を丸くして私を見ていた。
今しかない。
今しか・・・・・・ない。