「ちょっとサーブ打ってみろ」




かごからボールを1球手に取った鉄平が、丁寧に私にそのボールを渡す。



手が触れる。





「はい!!」




緊張する。




ゆっくりとボールを空に向かって投げる。



一番高い位置でラケットの真ん中に当てる。



まぶしい太陽。


泣けちゃうくらいに青春してるよ、私。





「よし。ナイスサーブだ。続けて」





決して愛想がいいわけじゃない鉄平だけど、厳しい瞳の奥がとても優しくて温かい気がした。




それは私が恋をしているからなのかな。



それとも、やっぱり優しい人だから?