立派な大人だもの…、お義父さんやお義母さんを困らせていると分かるけど。



これだけは絶対に譲れない。このまま日本に残っているなんて耐えられないの…。



暫くの沈黙ののち、ひとつ溜め息を吐き出してから笑ってくれたお義母さん。



「…分かった。うん、私がついてるから大丈夫よね。

ごめんね、待ってる方が辛いよね?」


「うっ…、はい…っ」


「幸い会社が用意下さったチケットも、随分と楽なビジネスだしね。

まぁ、何より私がいれば大丈夫!」


決心めいたお義母さんの温かい言葉が嬉しくて、コクコクと何度も頷いていれば。



「真咲ちゃん、もう泣かないで?」


「あっ、みぃ…ぁ、りがと――」


シンと静まり返った中で嗚咽を漏らす私に、心配そうな声で渡されたのはタオル。



小さな手からソレを受け取ると、母の葬儀と同じ行動を取る亜実に涙が零れた。