「楽しみだな~。」

リョータが言った。

「何が?」

「だから転校生だよ!」

「あ、ああ。」

そうか、僕しか会っていなかった

ことを忘れていた。

「ほらー、席着けー。」

担任が来た。生活指導のムラさんだ。

ムラさんというのは、もちろん、あだ名。

苗字が村山というだけの、単純な理由だ。

「ムラさ~ん、まだ早えーよ。」

クラスの誰かが言った。

僕は、コッソリうなずいた。

「バカヤロー、もう始まるよ。いいから席着けー。」

みんなぞろぞろと、だるそうに自分の席へ向かった。

「私達も座ろ。またあとでね。」

ユイが言った。

「うん、じゃ。」

僕達も、席に向かった。

「よし、じゃ、今日の連絡は・・・」

ムラさんが言いかけた時に、リョータが言った。

「せんせーい!」

「・・・なんだ。」

みんなの視線が、リョータに刺さった。

「転校生は?」

「ああ、すっかり忘れてた、廊下に待たせてんだよ。ドラマみたいだろ。」

と言って、ニカッと笑うが、

みんなは転校生のほうが気になっていて、

特に反応しなかった。

「入ってきていいぞ~。」