客だから挨拶をしておけということなのだろうか。

そんなことを考えながら、リビングの方へ歩き、顔を出した。

「こんにちは」

今の時間、こんばんはのほうがよかっただろうか。

時計は18時を指していた。

「こんにちわ、杏珠君。大きくなったね。覚えてるかな?」

「えーっと…」

思い出せない。

前にも会っているようだが…覚えていない。

困った顔をしていると

「無理もない、何年も前の話なんだから。私の名前は石川。こっちが服部だ。」

小太りで黒ぶちメガネをかけた石川が話した。