あきれたように言われちゃったけど

怖がりで逆に良かった……なんて思った。



だってあたしのもとまで助けにきてくれたコウキさんは

夕陽を浴びて王子様みたいにカッコよかったから……。



「……コウキさん~…」



涙ぐむあたしに、コウキさんは「戻るぞ」とクールに言い放つ。



「え…水の中、歩くの?」


「平気だって。俺いるし。手、つないでてやるし」


「……」


「安心できない?」


「……ううん」




他の誰より、安心できる。



引っ張ってくれるコウキさんのおっきな手を、あたしはぎゅっと握り返した。