トキオがあたしの元まで来て目線を合わせるようにしゃがみこんだ。





「噛むな」




あたしが下唇を噛んでることに気づいたトキオは頬を触りながら言ってきた。





「桜、どっちみちふられるんなら言いたい事全部言ってやれ。お前には俺だっているしな」





今まで知らないくらいの優しい声で言ったトキオは立ち上がった。


ドアの閉まる音が聞こえてトキオが出て行ったんだと思った。


ふたりで話せってことなんだろうけど…何て話せばいいか分からない。