「なんでもないよ。ちょっと飲みたくなっただけ」





嘘をついた。
キスの現場を見たなんて誰にも言えないよ。


トキオだって、そんな話をされても困るだろうし。





「嘘つけ。お前今にも死にそうな顔してる」


「へへっ。そんなに酷い?」





笑って誤魔化してみると、トキオの腕に包まれた。





「…………トキオ?」





もうあたしたちはそんな関係じゃないのに。


死にそうなくらい弱っていても、それは嫌だよ。