『20秒……』

「仁史、早くこっちのパイプも切って!」

反対側の壁に沿ったパイプに繋がれている沙耶香と、雅人が仁史に懇願した。

仁史はすぐさま身を翻して、反対側のパイプに斧を振りかざした。沙耶香と雅人の間に狙いをつけて。

これで全員助かる。

『シュー!!』

「え?!」

突如、パイプの切断面から激しい勢いで蒸気が噴出した。

高温高圧の水蒸気。

触れれば火傷は必至。

「こっちはただのパイプじゃなかったのかよ……」