「ねぇ、もうやるしかないんじゃないの?
殺す時間も残り僅かよ」

詩織がそう言って仁史を見上げてきた。

「詩織……」

何か言葉を続けようとしたのだろうが、冬耶は口をつぐんだ。

部屋を調べても手がかりはなし。

助かる方法も、切り抜けるアイデアも思いつかない。



仁史は入り口のドアの上にある古びたスピーカーを見上げていた。

ここから先程のアナウンスが流れていた。
おそらくスピーカーの中にカメラとマイクも仕込まれているのだろう。