「そこの響君だって怪しいんじゃない?さっきからほとんどしゃべってないわよ。

ずーっと座り込んでて、慌ててる様子もないし」

「あいつはいつもああいう奴だろ」

雅人が口を挟んだ。

大学の授業でもいつも目立たない一番後ろの席に座り、誰と言葉を交わすこともなく静かにノートを取っている。

授業の後皆で騒いでいる所を見た事もないし、どこかのサークルに所属しているとも聞いた事がなかった。