冬耶が気を許していた瞬間に、仁史が斧の柄に手を伸ばした。

が、リーチが足りず寸での所で仁史の左手が空を掴んでいた。

「それをよこせ!」

「仁史……まだわからないのかよっ!」

冬耶は奪うように斧を引き寄せ、再び壁の端に身を引いた。