米をもう一合余分に洗い、早炊きでセットする。

本当は水につけたまま三十分おいたり、炊きあがっても蒸らしたほうがよかったりするのだが、めんどくさいので省略。

タイムイズマニー。

ちょっといつもより美味しくなるからといって貴重な時間を浪費する気にはどうしてもなれない。

まあその時間を有効活用するわけでもないのだが。


瑛太は再放送のドラマを見ている。

大きな捜査線が踊ったりするあれだ。

オレはネギをハサミで適当に切って一箇所にまとめ、手を洗ってテーブルを挟んで瑛太の反対側に座る。


「んで、おまえ何しに来たの?」
「いやヒマだったんで」
「あ、そ」
「先輩はお楽しみだったようで」
「そう思ったんなら帰れよ」
「いやそのまま帰るのもなんか悔しかったんで」
「おまえ本当に車とかに轢かれろよ」


基本的に家には鍵をかけることはない。

防犯意識が低いと思われようが、家には盗まれて困るようなものはないのだ。

まあさすがにテレビとか盗まれたら困るが。


そういうわけで、帰宅したら友人や後輩が酒盛りしてたりゲームしてたり風呂入ってたりエッチしてたりすることが多々ある。

最近はこいつらのために鍵をかけないで外出しているようなところがあるので、少し癪だ。


「てかこの人だれすか?」
「多田みのり。クラスメイトでもうすぐ先輩になる」
「あー、そういえば先輩留年したんでしたね。あれ?タメ語オッケーっすか?」
「残念サークルの階級は入部した瞬間から順不同なんだわ。1、2、3回生は奴隷で4回生は神様だ。あとやっぱおまえ嵐の日に雷とかに打たれろ」
「この人彼女さんっすか?」
「あいかわらず話を聞かんなうーん殺したい。あとちがうから」
「じゃあオレ狙っちゃってオッケーっすか?」
「オレにいちいち聞く必要ないんじゃない?本人がいいならオッケーでしょ」
「マジっすか!うはー燃えるっす!」
「まあ付き合ったらおまえのチンコもぐけどね」
「なんで!」
「おまえは父性的に見て悪い虫でしかない」
「ひどいっす!」
「残念ながら事実だ」


なぜ神様はこいつにピンポイントで隕石を降らせないのだろうか。