「またか…」


リサイクルショップで買い叩いてきた古い壁掛け時計を見て呟く。

またしてもオレは夕方頃に目を覚ましてしまった。

そろそろ体内時計をなんとかして正常に戻さないと本格的にやばい気がしてきた。

ふと隣に眼をやると、布団を跳ね除けて眠っているみのりがいた。


そういえば朝方だか昼間だかに来てたんだったか。

テンションと勢いでアホなことをしてしまった気がするが、まあ過ぎたことはしょうがない。

重要なのは、いつだって今だ。


取り急ぎ、小腹がすいてきたのでメシを作ることにする。

たぶんみのりも食ってくことになるだろうから二人前。

とりあえず米を洗って炊く。

チャーハンっぽい焼き飯でいいだろう。

卵とネギと味の素があれば誰でもできる簡単料理だ。

料理といったら料理なのである。


「オレは魚とか肉が食いたいっす」
「おまえが金を出すならいくらでも作ってやるよ」
「オレも金ないっす」
「死ね」


ユニットバスから出てきて早々贅沢をホザくのは町瑛太。

サークルの後輩である。歳は一個下。


「先輩いつもチャーハンか袋ラーメンじゃないっすか。しかも一袋50円とかの」
「オレだって金がありゃあ角煮でも煮魚でもすき焼きでもなんでも作ってやるがな、スカンピンのおまえはタダでメシ食わせてもらえるだけでありがたいと思えよ」
「かんしゃ~」
「死ね」


そんでチャーハンじゃなくて焼き飯だ。

チャーハンはもっとちゃんとした料理だ。そこは譲れない。