洋平は少し俯きながら言った。





「俺…今さら
春のこと諦められない。



でも春の幸せが
あいつの傍にいることなら
俺はあいつも春も応援するよ♪」


「……洋平。」


「でももしあいつが
春のこと手放したら
その時は遠慮しないから♪」


「洋平…ありがとう。」


「じゃぁ俺、
用事ができたから
そろそろ行くなっ♪」


「うん。
私もうちょっとここにいる。」


「そっか♪
じゃぁ春、またな!」






洋平は私に手を振ると
どこかへ行ってしまった。













ふと私は空を見上げた。



広く晴れ渡る快晴の空。


この時、私の胸の中も
きっとこんな感じだっただろう。





私は寝転がると
過去のことを思い出していた。












翔くんとの出会い。

私に素直になる
大切さを教えてくれた。

過去のことも全て
受け止めてくれた。


そして少しずつ心を開いて
知らないうちに翔くんに
想いを寄せる自分がいた。


翔くんが咲さんに言った言葉
今でもはっきり覚えている。


そして付き合った私たち。

幸せな日が続く毎日。


初デートでもらった
初めてのペアリング。


空に手を翳すと
薬指がキラキラと輝いた。


私はそんなことを考えながら
知らないうちに眠ってしまった。





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