怒った美玲は洋平に言った。



「あんた、
何であんなこと…」


「君も友達なら
わかってるんだろ。

あいつといると
春は悲しい顔してる。

春があいつを
好きなのはわかってる。

でもあいつといて
春はこの先、幸せにはなれない」



「あんたは
春の気持ちをわかってない。」




美玲はそう言って
どこかへ行ってしまった。







この時私の胸には
洋平の言葉が響いていた。






私は翔くんといても
幸せにはなれない。


半分当たってるような気もした。



翔くんが私の全て。

だけど翔くんには記憶がなく
私が翔くんの全てではない。



それはわかっていた。



もしこのまま記憶が
戻らなかったら……








私は洋平の言葉に
ショックを隠せなかった。








すると洋平は私の手を掴み、
どこかへ歩きだした。





「……神崎さん?」


「いいから。
何も言わずについて来て。」










何段もの階段を上ると
あの扉の前で足を止めた。




キイィ―…







扉が開くと快晴の空が
私たちを待っていた。






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