翔くんと言いたいところだが
今は一方通行の想いに
私はうまく返答できなかった。





「じゃぁ好きな人はいるの?」


「えっ?まぁ……。」


「それって俺のこと?」


「は…?違います!」


「そんなにズバッと
言わなくてもいいじゃん。」


「曖昧なのは貴方に失礼だし。」


「だから貴方じゃなくて
俺の名前は神崎洋平だって♪」


「神崎さんに曖昧な
返事したら失礼だから。」


「神崎さんかぁ…
まぁいいやっ♪

君、優しいとこあるじゃん♪」


「優しくなんてない。

私は悪い女だから
絡まない方がいいですよ…」


「ふ〜ん。悪い女かぁ…

まぁどうでもいいけどね♪」


「えっ?」


「悪い女かどうかは
俺が判断することだから♪」


「ふふっ何それ♪」


「また笑ったね♪

君のこと好きになりそう♪」


「冗談はやめて下さい!」


私は立ち上がり、
扉の方へと向かった。


すると後ろから
神崎さんが叫んできた。





「春っ!」


「呼び捨てはやめて下さい!」


「嫌だっ!

俺、春のこと
絶対落としてみせるから♪」


「何言ってるんですか!」


「俺、本気だから!」


「失礼しますっ」





私はそのまま走り去った。





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