初めての朝帰りだったので
私はゆっくりドアを開けた。







ガチャ








中に入るとお父さんと
お母さんが立っていた。






「春、どこに行ってたんだ!

母さんがあれだけ
連絡しろと言ってただろ!
朝帰りなんて
高校生だからって許さんぞ!」



「ごめんなさい。

今度からは
ちゃんと連絡して
ちゃんと朝までに帰るから。」



「お父さんもお母さんも
ずっと心配してたんだぞ!
何なんだその態度はっ!!」



「だから謝ってるじゃん!

いつも家のこと
ほったらかしのくせに
お父さんに言われたくない。

どうせ私のことなんか
心配なんてしてないくせに。」









バシッ






私の頬を叩いたのは
お母さんだった。






「お父さんに謝りなさい。」





真剣に怒るお母さんの顔を
私はこの時、初めて見た。





「…嫌だ。」











私は自分の部屋に駆け込んだ。





すると涙が溢れてきた。










怒られている理由、
心配してくれていること、
お父さんが家のために
一生懸命仕事していることも

全部わかっていた。





わかっていたからこそ
涙が止まらなかった。






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