「なぁ春?」




「どぉしたの?」




「何であの時、
咲のこと許したんだ?」




「許してないよ……。

でも二人のこと応援
したかったから私が間に
入る理由ないなって思ったの。」




「そっか…。

俺あの時まで
こんな大事なやつが
傍に居たなんて
思ってもみなかったよ。」



「私、あの時
本当に嬉しかった。

私のこと大事って
言ってくれたの
翔くんが初めてだった。」



「俺…あの時の言葉
嘘じゃないから。

どんなことがあっても
絶対春のこと守るから
俺の傍から離れないでくれ。」





私が頷くと翔くんの表情は
笑顔へと変わった。













気づいたときには
私の目から涙が零れていた。

















「春、泣くな。」



















翔くんの温かい腕に
包まれながら私は初めて、
嬉し涙の意味を知った。







* * * * * * * * * * * * * * *