「…幹斗ー。そろそろあがれー。」

平岡が戻ってきた。

…顔みたくない…
ほんとに気持ち悪い。

「ゲホッ…ゲホッ…ゴッ…」

「大丈夫か?
お前…顔真っ青だぞ。」

誰のせいだよ。
殴りたい……

「もう…あがります。」

そう言って横を通りすぎようとした。


「まあまあ…待て。
ちょっと話そう。

俺…平和主義だから、その手の拳…開けよ。
パアってやってみ。」

ニコニコ笑いながら握りしめてた拳を開かれた。

何が平和主義だ。
さっき胸ぐら掴んだの誰だよ!!


「…俺…安心したよ。
幹斗…色恋、全くないからさ。

男に興味あんのかと思ってた。」


「………色恋なんかじゃ………………ないっす。」
違う。
あいつに。

あいつを傷つけた自分に。

いらついてただけなんだ。