それからはもう…那智さんは先生の悪口でいっぱいだった。



高校の頃のつーくんは浮気ばっかだった。もう最低だった。って。


私と何かあるとすぐに他の女の子に逃げる。って


「つーくんは絶対に恵ちゃんが好きだった。」


いきなり突拍子もないことを言い出した。

「はいっ?」



「文化祭くらいから恵ちゃんがプールに落ちるくらいまで、ずっと変だった。

自信ある。かけてもいい。」


この時期…那智さんはすごく先生のこどもが欲しくて…
でも、まだすこし薬を飲んでることを考えて、

先生はまだ若いし…焦ってないって言ってたんだって。


「私がね。つーくんにごめんね。ごめんね。って思うと、…途端に私達は上手く行かなくなるの。


きっとね、恵ちゃんならリスクなく赤ちゃんが産めるし、『ちゃんと好きになれる』って思ったんだよ。最低でしょ。あいつ。」


「それは…本当なら…最低かも」


「でしょ。本当だよ。ずっと一緒にいるから。
分かる。

でもね。プールに落ちた恵ちゃんや幹斗くん見て『ちゃんと言おう』って思ったの。


『どうしたいか。どうして欲しいか』言おうって。

それから『愛そう』って。




「素敵ですね。」

それだけ伝えた。