「それ…ペア?」


薬指の指輪をみて言った。

「ああ。
大学入ったころさ…新歓コンパとか…やたら多くて
俺も貴子も全部は断れなかったんだ。


貴子なんて短大だから、それが本当に合コンで 、

あんまり腹立ってさ…大喧嘩したことあったんだ。


何のために短大行ってんだって。

ちゃんと保母さんになりたいの知ってたのに…

どうせ保育士も腰掛けで男探して、さっさと結婚するんだろ…って。」


村越は温厚で…キレたとこなんてほとんど見たことなくて…


恵子の病院で殴られたときと、昨日だけ…

貴子ちゃんにもいつも優しかったし…貴子ちゃんに向けた言葉にすこしびっくりした。


「そしたらさ…あいつ…『そうする』って言ったんだ。」


貴子ちゃんは貴子ちゃんで…
確かにはっきり言う子だったけど…
それでも村越を好きだと凄く態度に出してた。

「俺もさ、幹斗と同じくらい貴子に愛されてる自信あったし、愛してたんだ。
なのに、
『そうする』4文字で終わった。
2年近く付き合ってきて、
それでおしまい。」