「別れたくないのか?」





人の恋愛に首突っ込むなんて柄じゃないけど、彼氏の家に行くと姉貴は時々顔にアザを作って帰ってくる。


正直、見てらんねぇ。





「……私の気持ちわかってくれるいい奴なんだよ」





ダメな男から離れられない奴ってたいていこう言う。




「女に手挙げるような男いい奴なわけねぇだろ。アイツとじゃ幸せになれねぇぞ」





しばしの沈黙の後、姉貴が絞り出すような声で言った。





「じゃあ……じゃあ勇気が幸せにしてよ」