2人で過ごしたこの部屋の中に、かのんの物はほとんどなく、あるものといえば、テーブルの置き手紙とペンだけだった。
『何で…だよ……。』
俺は手紙を握りしめながら、鈴夏へと電話をかけた。
『かのんどこ行ったか知らねぇ?』
『し…知らないよ?かのんがどうかしたの?』
『手紙置いて、出てっちまったんだ…。』
『そのうち帰ってくるでしょう?』
それから、かのんは何日たっても帰っては来なかった。
誰にきいても皆、知らない…そうこたえた。
********************
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…