2人で過ごしたこの部屋の中に、かのんの物はほとんどなく、あるものといえば、テーブルの置き手紙とペンだけだった。







『何で…だよ……。』




俺は手紙を握りしめながら、鈴夏へと電話をかけた。





『かのんどこ行ったか知らねぇ?』





『し…知らないよ?かのんがどうかしたの?』





『手紙置いて、出てっちまったんだ…。』





『そのうち帰ってくるでしょう?』







それから、かのんは何日たっても帰っては来なかった。



誰にきいても皆、知らない…そうこたえた。




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