信号待ちしている間も、アパートの階段を上がっている間も、シュウくんは一言も話さなかった。


ただ、私の手をギュッと握っているだけ。



「どうしたの?」

家に帰った瞬間、自然とでた言葉。

「別に。てかちゃんと連絡して」

ようやく彼が言葉を発したことにホッとした。


「うん。ホントごめんね?」

「『ごめん』じゃ足りない。ホントに心配したんだからな」


そう聞き終わったか、終わっていないうちにキスされた。

軽いキスかと思ったら、全然そんなことない噛みつかれるようなキス。