「どこで食べようか?」


「剛はどこがいい?」


「蝶野さんの好きな所でいいよ。」


「蝶野さんなの?」


麗が悲しそうな顔をした。

僕も麗って呼びたいけど、でも人前でそんな事したら。


「麗って呼んでくれないの?」


麗の小さな声。


麗は壁を作られるのが嫌なんだ。


僕なにしてるんだ。


人にどう言われたっていいじゃないか。


「麗、天気がいいから外で食べようか?」


「はい。」


うれしそうな麗。


「へっ。」


隣の武井のマヌケな声。


気がつけば、静かな教室と廊下。


周りとの温度差を感じる。

みんな僕と麗を見てる。


これはキツイ、早く外に出よう。


「行こうか?」


麗の返事がない。


僕をじっと見つめる麗。


なに?


なんなんだ?


「どうしたの?」


なんで動かない?


「剛。」


なんだか甘えた声。


なにがしたいの?


そういえば、麗は甘えん坊なんだよなー。


甘えたいのかな?


「麗おいで。」


手をさしだせば、うれしそうにその手を握る。


手をつなぎたかったのか。