「れっ、蝶野さんは?」


危ない、つい麗と呼びそうになった。


人前で呼んだから大変だ。

「蝶野さん?
クラス委員の仕事かな、さっき先生に呼ばれて行ったから。」


そうか、麗はクラス委員か。


さすがだな麗。


「ゴリお前。」


なんだ?


武井がじっと見てくる。


「悪い事言わないから、蝶野さんはやめとけ。」


はっ?


なんの話し?


「時々くるんだよ、告白しにくるやつ。
ひかれる気持ちはわかるけど、蝶野さんと俺達じゃ違いすぎるよ。」


僕、告白しに来たと思われてる?


ひかれてるのは間違いじゃないけどさ。


「違うよ、告白じゃないよ。」


「まぁ、いいからいいから。」


武井は、まるで俺はわかってるぞみたいな態度で、僕の肩をたたく。


違うのに。


「剛。」


僕の後ろから聞こえる、うれしい声。


剛と呼んでくれた。


麗は昨日と変わってない。

見れば、こちらに向かって廊下を歩いてくる麗。


「ごめんね、待った?
先生に呼ばれてしまって。」


「ううん、待ってないよ。」

あぁ、麗。


会えてうれしいよ。