「そっそれでね。
なんでこうなってるのか。
なんだかよくわからないんだけど。
何を言っていいかもわからないんだ。」


『ゴリ吉』の困った顔。


すごくかわいい。


「レモンの砂糖づけなんて知らなかったの。」


「うん。」


きっと何言ってるかわからないだろうに『ゴリ吉』はうなずいてくれた。


胸が暖かくなる。


うれしい。


「バスケ部の佐々木先輩にあげたくて、朝早起きして作ったんだって。」


「うん。」


「ピアノをやってた先輩がね、体育のバレーで突き指して、コーラス部の先生に治るまでってお願いされたの。」


「うん。」


うなずく『ゴリ吉』可愛すぎる。


「今日初参加したんだけど、先生すごくはりきって、いつもの終わる時間に終わらなかったみたいなの。
そしたら、泣き出した子がいたの。」


「うん。」


「佐々木先輩にレモンの砂糖づけ作ってきたのに、もう時間がないって。
試合終わっちゃってるって。」


「うん。」


本当にかわいい。


首に抱き着いた手に力を入れてさらに強く抱き着いた。