「離しちゃだめ。」

私は、まだ笑い続けてる『ゴリ吉』に抱き着く。



「えーと、えーと。
あっあのね、蝶野さん。
僕何が起こってるのかわからないんだけど、とにかく離れようか。」


「いや。」


私は、『ゴリ吉』の胸に顔を押し付ける。


「えっとえっと、僕、部活終わりですごく汗くさいんだ。」


「いや。」


私は、きつく抱きしめる。

汗くさいがなんなのよ。


『ゴリ吉』から香水の香りなんかしたら笑っちゃうわよ。


『ゴリ吉』、汗くさい。


うん、イメージばっちり。

「とにかく落ち着こうよ、蝶野さん。」


「落ち着いてる。」


この抱きしめられる、包まれる安心感。


うん、私めちゃめちゃ落ち着いてる。