どんな人なのかしら?


上に顔をあげて見る。


そこにいたのは


困った顔をした『ゴリ吉』


小さい頃のお気に入りのぬいぐるみで、その時の私より大きくて、仕事やパーティーでいない両親の代わりに、いつも一緒に寝ていた『ゴリ吉』。


小学生三年の時、真っ黒ですりきれた『ゴリ吉』は、汚いからと父親に捨てられてしまった。


あの『ゴリ吉』が目の前に。



私は階段を駆け上がり、『ゴリ吉』に抱き着いた。



「えっ。」


びっくりした声が頭の上から聞こえたが、私はさらに強く抱き着いた。


その人は拒絶することなく、抱きしめてくれた。


大きな体に、スッポリと包まれる。


なんかすごく安心する。



[グゥ〜]


このお腹から聞こえる音は、さっきも聞こえた音。


『ゴリ吉』のお腹の音だったんだ。