「うん、分かってるけど…。」


愛の雰囲気に負けて、だんだん声が小さくなる。


「えっ。」


愛が急に驚いた顔をして、アパートの狭いベランダを見つめる。


そこには、朝干した洗濯物が風になびいていた。


「私、洗濯物自分でやるっていったよね。
なんでやっちゃうの。
信じられない。
お兄ちゃんとは一緒に洗いたくないって言ったよね。」


「うん、そうなんだけど、いい天気だったし、愛起きて来ないし。
愛が言った通り、僕とは別に洗濯したし。」


「気持ち悪い。
妹の下着洗うって、どうなのそれ。
まさかお兄ちゃんにおいかいだりしてないでしょうね。」


「するか!」


妹の中で、僕はどんな変態キャラなんだよ。


本当に、嫌そうに僕を見る愛。


「お弁当箱なんて、いらないからね。
そんな手で作ったものなんて、気持ち悪くて食べられない。」


「ちゃんと手は洗ったぞ。」


「そう言う問題じゃないでしょう。
キモいって言ってるの。」



そこには、昔『お兄ちゃん、大好き。』と、言ってくれた幼い妹の姿はなく。


中学生になった愛は、学校の女子と同じ姿になった。