「うん、完璧。」
自分が作ったお弁当ながら、納得の出来栄えにうれしくなる。
ちょうどお弁当が出来上がったら、奥の部屋から妹の愛が目をこすりながら眠そうに歩いてきた。
「おはよう。
今日愛も部活だろ、お弁当作っといたぞ。」
聞こえてきたのは、
『ありがとう、お兄ちゃん。』
ではなく、無言でにらんで来る愛だった。
「今日は愛の好きなものばかり入ったお弁当だぞ。
しょうがをきかせたから揚げ、甘い卵焼き、さっくり揚がったエビフライにお兄ちゃん特製タルタルソース…。」
無言の睨みに負けないように、早口でお弁当の解説をする。
「あのさぁ、私、私の事ほっといてってこの前言ったよね。」
睨んでいるのはそのままだが、愛が話始めた。