多恵の言葉は、私の胸にガツンと響いたような気がした。


好きになってくれる人がいるということは、とても奇跡的で、とても幸せ。


そんなこと、考えもしなかった。


今日は多恵の話を聞いて、ストレスの捌け口になればなんて思っていたけれど、結局私が彼女にたくさんのアドバイスをもらってしまった。


















その日、終電でアパートに帰宅した私は、多恵と一緒にいる間は一度も開かなかった携帯をチェックした。


松崎くんからメールが届いていた。


『今度いつ会えますか?』


簡素で、無駄のないストレートなメール。


その文章を眺めていたら、なぜか涙が溢れてきた。


和仁がいなくなってからは毎日毎日泣いていたけれど、最近はその時間も減っていた。


こんなにまた泣くなんて、どうしてだろう。


携帯をテーブルに置いて、カーテンを閉めようとして窓ガラスに映る自分を見て涙の理由に気がついた。


松崎くんに気にかけてもらえて、私はきっと嬉しいんだ。
でも、それ以上に傷つくのが怖い。


和仁のように、松崎くんもまた違う誰かを好きになって、私から離れていくのではないかと思ってしまうから。