お酒を飲んで忘れられるなら、どんなにいいだろう。


その時は忘れられたって、またすぐに思い出して悲しくなるに決まっている。


それに今日はちょっと頭痛がしていて、早く家に帰って眠りたかった。


「ごめんね。今日は…」


「そっか。遥、大丈夫?」


断る私の顔を覗き込み、多恵は心配そうな表情を浮かべた。


「大丈夫だよ。私、こんなんじゃダメだね」


思わずそんな言葉が口をついて出た。


これはきっと、本心だ。


ダメな私。


いつまでもクヨクヨ悩んで、泣いてばかりの私。


何をしていても、彼のことばかり考えてしまう私。


そのことで体調を崩してしまう私。


友達を心配させてしまう私。


前に踏み出す勇気なんかない、ちっぽけな私。


一人ぼっちで孤独を感じてしまう私。


どれも、ダメな私だ。