「全部お任せします」
私がそう言うと、松崎くんは困った顔で頭をかいた。
「そう言われると男としての力量を試されてるみたいで怖いです」
「そんなつもりじゃないよ」
余計なプレッシャーを与えるようなことを無意識に言ってしまっていた。
私は優柔不断で、なんでも自分一人で決めるのが苦手だ。
決めてしまって、相手が嫌がったりしていないか気になって仕方ないのだ。
臆病者の証拠なのかもしれないけれど、こればかりは昔から直せない。
「じゃあ、俺の買い物に付き合ってくれませんか?」
お、いつもと違う。
松崎くんの提案にちょっと意外な気がしながらも、私はうなずいた。
「どこでも付き合うよ」
彼は優しく微笑んで、率先して歩き出した。