和仁からの手紙を、昨日は全部読むことができなかった。
ほかの人にしてみれば意気地無しだと思うかもしれない。
でも、彼の気持ちが記された手紙を読むのは、今の私には
つらすぎて、
切なすぎて、
胸が痛くなって、
最後まで読めなかった。
開かれたままの手紙を静かにたたんで白い封筒に入れ、そのまま部屋のチェストにしまい込んだ。
込み上げそうになる涙をこらえて、顔を洗いに洗面所へ向かう。
今日も仕事だ。
どんなに落ち込んでいたって、悩んでいたって、仕事はある。
私が会社を休めば同僚が大変な思いをするのは目に浮かぶ。
だからつらい気持ちは隠して、仕事に向かうのだ。
カーテンを開けると、空は晴れていた。
今日も暑くなるような予感がした。
眩しい太陽を見上げながら、私は深いため息をついた。