「大学でもっと可愛い子とかいない?明るくて素敵な子。私なんかじゃなくて、そういう子の相手をした方が有意義だと思うよ」


私はあくまで真剣に提案したつもりだったのだけど、松崎くんは違う解釈をしたのか


「俺と会うのは迷惑ですか?」


と聞いてきた。


「迷惑じゃないけど、松崎くんのためにならない気がする」


「大丈夫ですよ。こう見えて、西山さんと会う前はとても緊張してましたから」


「緊張?」


「俺はあなたに会いたいと思ってたからです」


まるで国語の教科書か、あるいは恋愛小説みたいに、松崎くんの口から淡々と優しい言葉が紡ぎ出される。


彼はもともとこういう話し方しかできないのかもしれない。


感情をあまり顔には出さない分、言葉だけは正直に口にしているのだろうか。