連絡なんて来るわけない。


和仁の心には、もう私はいないのだから。


そういえば彼から届いた手紙をチェストにしまい込んで、そのままにしていたんだっけ。


いや、あれはあのままにするのが一番だ。


読み終える前に泣いてしまうに決まっている。


封筒を開けたと同時に床に落ちた、部屋の鍵。


私が和仁に渡した、アパートの合鍵だ。


あれが封筒に入っていたということは、私の部屋に彼はもう二度と来ない証なのだ。


あの鍵を冷たい床から拾い上げた私は、鍵をごみ箱に捨てたのを思い出した。


合鍵なんてあっても、もはや私にはなんの意味もない。


手紙もいっそのこと燃やしてしまいたい。


でも、


でも。


それはできなかった。