電車で具合が悪くなって会社を休んだ日から、数日後が経った。
会社を休んだのはあの日だけで、翌日からはちゃんと出勤して仕事をしていた。
体調が万全かと聞かれるとそうではない。
でもそんな弱音は吐いていられなかった。
「食欲はあるの?ここ何ヶ月かで、だいぶ痩せたよね」
同期の多恵がランチを食べながら私を怪訝そうに見ている。
今の私は、ランチ一人前を絶対に完食できない。
すぐにお腹がいっぱいになって、喉が「これ以上何も口に入れないで」と主張するのだ。
食欲がないわけじゃない。
お腹だって減る。
量が食べられないだけだった。
「食欲はちゃんとあるよ」
サンドイッチを頬張って、私は彼女を心配させまいと笑顔を返した。
「連絡は来ないの?元彼から」
事情を知らない多恵は私のことを知りたいようで、たまにこうして聞いてくる。
そのたびに、私は無言で首を横に振るのだ。