その日、午前中のうちにアパートへ帰った私はバッグを置いて、いつものようにベッドへ寝転がった。


いつもと違うのは、帰った時間が早いこと。


昼間に帰ることなんて今までなかったから、ベッドに寝そべりながら見える部屋の景色が、とても明るく見えた。


「ただいま」


とつぶやく私の声の響き方も、全部違って感じた。


朝よりも頭痛は和らいでいた。


━━━仕事が私のストレスだったのだろうか?


閉じかけた目を開けて、スカートのポケットから小さく折りたたんだメモ紙を取り出した。


そのメモには、朝に電車で助けてくれた男の子の名前と連絡先が書いてあった。