飲み会が終わり、お店の外に出たところで澄子が私に
「二次会あるから行くでしょ?」
と当然のように尋ねてきた。
私は首を振り、
「ごめん。今日は行けないんだ」
と二次会の誘いを断った。
みんなにバイバイと手を振り、私は駅に向かって歩く。
歩きながら、携帯をバッグから取り出して松崎くんに電話をかける。
何度か呼出音が鳴ったあと、聞き慣れた松崎くんの声が聞こえた。
『はい、もしもし』
「あ、今大丈夫?電話くれてたから」
私がそう言うと、電話の奥で松崎くんが申し訳なさそうに謝っていた。
『すみませんでした。飲み会の真っ最中でしたよね』
「ちょうど終わったところなの」
私は真っ暗な空にポツンと浮かぶ月を見上げながら
「今から会えないかな」
と伝えた。
松崎くんは少しだけ間を置いたあと『はい』と承諾してくれた。
私たちはいつものあのカフェで待ち合わせをすることにして、電話を切った。