お店に入ると、店員さんが「いらっしゃいませ!」と元気よく迎え入れてくれた。


幹事をやってくれた子の名前を伝えると、すぐに奥の席へ案内される。


「1名様お通しします」


店員さんのひと声で、貸切にした個室の扉へみんなの注目が集まる。


私が顔を出すと、懐かしい面々が「遥!」と笑顔で手を振った。


大学を卒業してからはほんと一握りの友達としか会っていなかったので、ほとんどの人達が3年ぶりの再会だった。


「はるか~!」


澄子が立ち上がって私の元へ来てくれた。


「久しぶりー!え、なんか痩せた!?」


開口一番でその台詞だったので、思わず吹き出す。


「そんなこと無いよ」


否定していると、他の子達が私を手招きしているのが見えた。


みんな懐かしい顔ぶれだった。


「遥!こっちこっち」


呼ばれたところへ腰を下ろす。


時間ぴったりに来たつもりだったが、ほとんどの人たちがすでに集まっているようだった。


でも、どんなに探しても和仁の姿は無かった。


「遥、和仁と別れたって本当なの?」


早速、その質問が来た。
予想はしていたので、即座にうなずく。


「あー、うん。そうなの実は……」


「聞いた時びっくりしたよねー!」
「もはや結婚したのかと思ってたからさ」
「え、今日カズ来るんでしょ?気まずくない?」


口々にまくし立てられて、最初から気が滅入る。


その時、


「もう1名様ご到着でーす!」


と、元気の良い店員さんの声とともに現れたのは和仁だった。