「わ、私は……」


松崎くんを見つめたまま、私は自分の気持ちに問いかけ、向き合う。


電車で倒れそうになった時、救ってくれたのは?


泣いてばかりいた日々から引っ張り出してくれたのは?


一緒にご飯を食べたり、映画を観てどうだった?


二人でお酒を飲んで楽しかった?


いつも帰りは送ってくれて、どう思ってたの?


どうしてお弁当を作ってあげたいと思ったの?


運動は苦手なのに登山に行ったのはどうして?


抱きしめられた時どう思ったの?


手を繋いだ時どう思ったの?


今、どう思ってるの?


答えは分かっていた。


「好き……です」


頭の中でいつもはぐらかして、ごまかしていたこの気持ちを口にした瞬間、目の前に座る松崎くんが愛しく思えた。


松崎くんはとても嬉しそうに微笑み、


「俺を信じてください」


と言った。


好きな人を信じる。
そんな単純なことで良かったんだ。