━━━━━大事な話があります。
松崎くんの決意が込められたようなこの言葉は、私の心を揺らした。
曖昧にしてきたこの関係の終わりが来たのかもしれない。
私たちは電車に乗って、お互いの住む最寄り駅に戻る。
初めて二人でお茶をした、駅のそばのカフェに行くことにしたのだ。
店内はあまり混んでおらずパラパラとお客さんがいる程度で、唯一目立つのは女子高生3人の話し声くらいだった。
窓際の席に座った私は、向かいに座る松崎くんを見やる。
彼も私を見ていた。
目が合った瞬間、どうしていいか分からずすぐに逸らした。
私はいったい何をやっているのだろう。
自分から気まずい雰囲気を作って何になるのだ。
注文したホットのブレンドコーヒーがテーブルに届けられたタイミングで、松崎くんが私に声をかけてきた。
「今日、楽しかったですか?」
「うん、楽しかったよ」
私がうなずくと、彼はすぐに
「登山が楽しかったですか?それとも俺と一緒にいて楽しかったですか?」
と、質問を変えてきた。
「そ、それは……。どっちも、かな」
答え方に迷いはあったけれど、答えに嘘はなかった。