大事みたいに言うから、ちょっとドキッとしてしまった。


そんな私の思いをよそに、彼は目を伏せてほんの少し笑顔を曇らせる。


「大それたことですよ、俺にとっては。毎回断られるんじゃないかって、不安です」


………ごめん。
ごめんね。
ほんとにごめんなさい。


私は急に罪悪感なのか、なんなのかよくわからない気持ちに包まれてしまった。


でも、ごめんね、って口にしたら駄目な気がした。


結局私は、そのことに関しては何も返事ができなかった。
曖昧な関係であるということは自覚しているので、それ以上の言葉を言うと、嘘みたいに聞こえてしまいそうだったから。


ぽつりぽつりと会話を交わしながら、電車を降りた私たちはゆっくり歩いて私のアパートの方へ向かった。