そのあとは何度かお互いにお酒を注文したり、楽しみにしていた天ぷら等がテーブルに並び、いい感じに酔ってきた頃、松崎くんがお手洗いに行くと席を立った。


心なしかお酒の効果なのか、いつもよりも私たちの会話は多いような気がする。


このお店に来てから、私は思考があまり暗くならないで済んでいるので気分も良かった。


ふと、先程まで彼が座っていたイスに目を見やる。


コーヒーと、ラッピングされた焼き菓子が入った紙袋…。


誰にもらったのだろう。
やっぱりなんだかんだで、松崎くんのことを好きな女の子とか、そういう子からもらったんじゃないだろうか。


だとしたら、私が今日彼のために買ったコーヒー豆は渡さない方がいい。


思わせ振りな女だなって、自分でも思う。


これが逆の立場だったら、期待してしまうかもしれない。
相手は自分のことを気にかけてくれていると。